- 5月 21, 2025
- 5月 14, 2025
コーヒーは腎臓にいいの？慢性腎臓病との意外な関係
私たちの生活に欠かせない飲み物、コーヒー。目覚めの一杯や仕事の合間のリフレッシュに、日常的に楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
一方で、「コーヒーって腎臓に悪いんじゃないの？」という不安の声もちらほら。特に、**慢性腎臓病（CKD）**を気にしている方にとっては、気になるポイントですよね。
今回は、最新の研究結果をもとに、「コーヒーと慢性腎臓病の関係性」についてわかりやすく解説します。
慢性腎臓病とは？
慢性腎臓病（Chronic Kidney Disease：CKD）は、腎臓の機能が低下し、3か月以上にわたって持続する病気です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な原因とされており、日本では成人の約8人に1人が該当すると言われています（日本腎臓学会, 2013）。
コーヒーは腎臓に悪い？良い？
■ これまでの誤解
一昔前までは、「カフェインは利尿作用があるから腎臓に負担がかかる」と考えられていました。しかし、最近の研究ではむしろコーヒーの摂取が腎機能の低下を抑える可能性があることがわかってきています。
最新研究からわかること
ここでは、信頼できる医学論文をもとに、コーヒーとCKDに関する知見をいくつか紹介します。
1. コーヒーと腎機能低下リスクの関係
Chen et al. (2022) の研究では、米国の大規模疫学データを使って、コーヒーを飲む人のほうがCKDのリスクが低いという結果が示されました。
“Coffee consumption was associated with a lower risk of incident CKD and slower decline in eGFR.”
（Chen W. et al., Kidney International Reports, 2022）
2. カフェインが腎機能を保護する？
Lin et al. (2020) の研究では、カフェインの摂取量が多い人ほど腎機能が維持されやすいと報告されています。カフェインには抗酸化作用や血流改善効果があるとされており、それが腎臓にも好影響を及ぼすと考えられています。
(Lin WY et al., Nutrients, 2020)
3. 1日3杯程度が目安？
Yamagata et al. (2018) による日本人対象の研究では、1日2〜3杯のコーヒーを飲む人は、CKDの進行が抑えられる傾向にあることが示唆されました。ただし、飲み過ぎには注意が必要です。
(Yamagata K et al., Clin Exp Nephrol, 2018)
4. コーヒーに含まれるポリフェノールの効果
コーヒーにはポリフェノール（特にクロロゲン酸）が豊富に含まれており、これが腎臓の炎症を抑える働きがあるとされています。
(Rodriguez de Sotillo DV et al., Journal of Nutritional Biochemistry, 2006)
5. 他の生活習慣との関係
ただし、コーヒーだけでCKDを予防・改善できるわけではありません。食事、運動、睡眠など、他の生活習慣と組み合わせることが大切です（Mills KT et al., JAMA, 2015）。
注意すべきポイント
- 過剰摂取はNG：1日3〜4杯程度が適量とされます。5杯以上になると、逆に心血管への影響などが出る可能性があります。
- 糖分やミルクの加えすぎにも注意：ブラックまたは低糖タイプをおすすめします。
- 腎臓病の治療中の方は医師と相談を：特に進行した腎機能低下がある場合は、水分やカリウムの制限が必要なこともあります。
まとめ：コーヒーは腎臓に“優しい”かも？
最新の研究では、適量のコーヒー摂取が慢性腎臓病の予防に役立つ可能性があることがわかってきました。
もちろん、「飲めば治る」というわけではありませんが、これまで「腎臓に悪い」と思われがちだったコーヒーが、実は味方かもしれないというのはうれしいニュースですね。
健康的な生活習慣の一環として、今日の一杯を楽しんでみてはいかがでしょうか？
引用・参考文献
- Chen W. et al. (2022). Coffee Consumption and Risk of Chronic Kidney Disease, Kidney Int Rep.
- Lin WY et al. (2020). Caffeine intake and kidney function, Nutrients.
- Yamagata K et al. (2018). Coffee consumption and CKD progression in a Japanese population, Clin Exp Nephrol.
- Rodriguez de Sotillo DV et al. (2006). Chlorogenic acid and inflammation, J Nutr Biochem.
- Mills KT et al. (2015). Healthy lifestyle and kidney outcomes, JAMA.
- 日本腎臓学会（2013年）『CKD診療ガイドライン』.
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