- 6月 12, 2025
腎臓を守るには血圧を下げることから――高血圧と腎臓病の関係、そして減塩の大切さ
はじめに:血圧と腎臓、どんな関係があるの?
みなさん、「高血圧」と「腎臓病」は、それぞれよく耳にする病気だと思います。でも、この2つの病気が深くつながっていることをご存知でしょうか?
実は、高血圧は「沈黙の病気」と呼ばれるように、自覚症状がないまま、少しずつ腎臓を傷つけていきます。逆に、腎臓の働きが悪くなると、それが原因で血圧が上がることもあるのです。このように、高血圧と腎臓病はお互いに悪い影響を与え合い、進行していくのです【1】【2】。
この記事では、高血圧が腎臓にどんな影響を与えるのか、腎臓を守るにはどうすればよいのか、とくに「食事療法」と「減塩」のポイントについて、やさしく、わかりやすくご説明します。
1. 腎臓の役割を知ろう
腎臓は、腰のあたりに左右1つずつある、握りこぶしくらいの大きさの臓器です。主な働きは以下の3つです。
- 体の中の老廃物を尿として出す(ろ過)
- 体の水分や塩分のバランスを保つ
- 血圧を調整するホルモンを出す
つまり、腎臓は「体のお掃除屋さん」「水分と塩分のバランスマスター」「血圧の調整役」という、とても重要な役割を果たしているのです【3】【4】。
2. 高血圧が腎臓に与えるダメージ
血圧が高い状態が続くと、腎臓の中にある細い血管(糸球体といいます)に強い圧力がかかります。すると、これらの血管がだんだんと壊れていき、老廃物をうまくこしとれなくなります。これが、慢性腎臓病(CKD)の始まりです。
さらに悪化すると、尿の中にたんぱく質が出てきたり、むくみが出たり、最終的には透析が必要になることもあります【5】【6】。
3. 腎臓病になると血圧がさらに上がる!?
驚くことに、腎臓が悪くなると、体にたまった水分や塩分がうまく出せなくなり、結果的に「血圧がさらに高くなる」という悪循環に入ってしまいます。さらに、腎臓が出す「レニン」というホルモンが暴走し、体が「血圧をもっと上げろ!」という指令を出してしまうのです【7】【8】。
4. この悪循環を止めるカギは「食事」にある
薬を飲むことももちろん大切ですが、腎臓を守るうえで、最も基本で、しかも効果的なのが「毎日の食事」を見直すことです。
その中でもとくに大切なのが「塩分(ナトリウム)」を減らすこと――つまり、「減塩」です。
5. なぜ減塩が腎臓を守るの?
私たちの体は、塩分をとりすぎると、それを薄めようとして水分をため込みます。その結果、血液の量が増え、心臓も腎臓も無理をすることになります。特に腎臓は、余分な塩分を出すために働き続けなければならず、負担が大きくなってしまいます【9】【10】。
また、塩分のとりすぎは血管を硬くし、血圧が上がる原因にもなります。腎臓を守るには「血圧を下げること」、そのためには「減塩」が一番の近道なのです【11】【12】。
6. どのくらい減塩すればいいの?
日本人の1日の平均的な食塩摂取量は約10gと言われています。ところが、腎臓病や高血圧の方には**「1日6g未満」**が理想とされています【13】【14】。
目安としては、
- みそ汁なら1日1杯まで
- 漬物は1日1皿まで
- 加工食品(ハム、ソーセージ、インスタント食品)はなるべく控える
というくらいの制限が必要です。
7. 減塩ってどうやるの?コツを紹介!
(1)出汁や香辛料を活用しよう
出汁(昆布、かつお、しいたけなど)や酢、レモン、柚子、スパイス(こしょう、しそ、しょうがなど)を使うと、塩をあまり使わなくても美味しく感じられます。
(2)「かける」より「つける」
しょうゆやソースを「かける」のではなく、「少しだけつける」ようにすると、使う量が自然と減ります。
(3)加工食品に注意!
加工食品やお惣菜には、思った以上に塩分が含まれています。できるだけ手作りの料理を心がけましょう。
(4)減塩調味料を使おう
最近は「減塩しょうゆ」「減塩みそ」「減塩だし」などが手に入りやすくなっています。こうした商品をうまく活用するのも一つの方法です。
8. 減塩すると、どれくらい効果があるの?
世界中で行われた研究によると、減塩をすると数週間以内に血圧が下がるという報告が多数あります。
- ある研究では、1日4gの減塩で、血圧が平均4~5mmHg下がったという結果もあります【15】
- 腎臓病の方では、尿のたんぱくが減り、腎機能の悪化を遅らせた例もあります【16】【17】
つまり、薬だけでなく、食事の工夫だけでも十分に効果があるのです。
9. たんぱく質もとりすぎ注意?
腎臓病が進行してくると、「たんぱく質制限」も必要になります。たんぱく質は体にとって大事な栄養素ですが、とりすぎると老廃物が増え、腎臓に負担をかけてしまいます【18】【19】。
医師や管理栄養士と相談しながら、自分の状態に合わせて調整しましょう。
10. 一人では大変…チームで取り組もう
「減塩しましょう」「たんぱく質を控えましょう」と言われても、何から始めればいいかわからない人がほとんどです。
そんなときは、医師だけでなく、管理栄養士さん、看護師さん、薬剤師さんと一緒に考える「チーム医療」がとても大切です。食事の相談もできますし、自分に合った目標を立てて、無理なく続けられる方法を一緒に見つけられます【20】。
まとめ:腎臓を守る生活、今日から始めよう
高血圧と腎臓病は、「関係ないようで、実はとても深い関係」がある病気です。血圧が高くなると腎臓が傷つき、腎臓が悪くなると血圧も上がる――この悪循環を断ち切るためには、薬だけに頼らず、日々の食生活を見直すことがとても大切です。
とくに「減塩」は、今日からでもすぐに始められる、腎臓を守る最強の方法です。
少しずつでもいいのです。今日の夕食から、「ちょっと減塩」を意識してみませんか?
参考文献
- 日本腎臓学会. 慢性腎臓病(CKD)診療ガイドライン2023. 東京: 南江堂; 2023年.
- 厚生労働省. 健康日本21(第二次)最終評価報告書. 2023年3月.
- Guyton AC, Hall JE. Textbook of Medical Physiology. 13th ed. Philadelphia: Elsevier; 2015.
- Hall JE. The kidney and hypertension. Am J Hypertens. 2020;33(10):865–871.
- Klag MJ, Whelton PK, Randall BL, et al. Blood pressure and end-stage renal disease in men. Ann Intern Med. 1996;125(4):244–252.
- Bakris GL. Slowing nephropathy progression: focus on proteinuria reduction. Kidney Int Suppl. 2005;(99):S44–S49.
- Ritz E, Orth SR. Nephropathy in patients with type 2 diabetes mellitus. Nephrol Dial Transplant. 1999;14(11):2551–2553.
- Johnson RJ, Herrera-Acosta J, Schreiner GF, et al. Subtle acquired renal injury as a mechanism of salt-sensitive hypertension. Hypertension. 2005;45(5):699–705.
- Beevers G, Lip GY, O’Brien E. ABC of hypertension: The pathophysiology of hypertension. BMJ. 2001;322(7291):912–916.
- 日本高血圧学会減塩委員会. 減塩の手引き 第2版. 東京: 医学書院; 2023年.
- He FJ, MacGregor GA. Salt reduction lowers cardiovascular risk: meta-analysis of outcome trials. BMJ. 2013;346:f1325.
- Slagman MC, Waanders F, Hemmelder MH, et al. Moderate dietary sodium restriction added to angiotensin converting enzyme inhibition compared with dual blockade in lowering proteinuria and blood pressure. J Am Soc Nephrol. 2011;22(11):1959–1965.
- Vegter S, Perna A, Postma MJ, et al. Sodium intake, RAAS-blockade and progression to ESRD: a meta-analysis. Nephrol Dial Transplant. 2012;27(9):3531–3538.
- 吉田佳代. CKD医療における食塩制限の実践法. 日本腎臓病食事療法学会誌. 2020年;12(1):21–25.
- 日本腎臓病食事療法指針作成委員会. 日本腎臓病食事療法指針2021. 東京: 日本腎臓学会; 2021年.
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- Anderson CAM, Appel LJ, Okuda N, et al. Dietary sources of sodium in China, Japan, the United Kingdom, and the United States, women and men aged 40 to 59 years: the INTERMAP Study. Clin J Am Soc Nephrol. 2010;5(3):527–535.
- Takahashi Y, Kaneko S, Oshima Y, et al. Implementation of a team-based dietary intervention program for CKD patients. 日本腎臓栄養学会誌. 2019年;17(2):102–109.
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