• 7月 14, 2025

LDLコレステロールが高いまま放置すると、どんな病気が起こるのか?

LDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)は、血管内に蓄積しやすく、さまざまな生活習慣病のリスクを高める主要な要因です。数値が高いにもかかわらず無症状であるため、放置されやすいのが現実です。しかし、放置すればするほど、将来重大な疾患を引き起こす危険性が高まります。本記事では、LDLコレステロールが高値のまま放置された場合に発症しうる主な病気について、海外文献をもとに解説します。


1. 動脈硬化症(Atherosclerosis)

LDLコレステロールの主な害は、動脈壁に沈着し、プラークを形成することで動脈を狭く・硬くすることです。これが「動脈硬化」です。

  • 「動脈硬化は進行性の疾患であり、LDLコレステロール濃度と強い相関を示す」(Libby P. et al., 2022)【文献1】
  • 「LDL-Cが高い状態が長く続くほど、プラークの形成が加速する」(Ference BA et al., 2017)【文献2】

2. 心筋梗塞(Myocardial Infarction)

動脈硬化が冠動脈で進行すると、プラークが破裂し血栓を形成、血流が遮断されて心筋梗塞が起こります。

  • 「LDL-Cの持続的高値は、心筋梗塞リスクを約2倍に増加させる」(Nicholls SJ et al., 2016)【文献3】
  • 「LDL-Cを70 mg/dL以下に維持すると、心血管イベントの再発を有意に抑制できる」(Sabatine MS et al., 2015)【文献4】

3. 脳梗塞(Ischemic Stroke)

脳の動脈に動脈硬化が及ぶと、脳梗塞のリスクも高まります。

  • 「心血管疾患と同様に、LDL-Cの増加は虚血性脳卒中のリスクを高める」(Amarenco P et al., 2006)【文献5】
  • 「スタチンによるLDL低下は、脳卒中の1次および2次予防に有効」(Cholesterol Treatment Trialists’ Collaboration, 2010)【文献6】

4. 末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease: PAD)

LDLコレステロールが高いと、下肢の動脈にも動脈硬化が起こり、間欠性跛行(歩くと痛くなる症状)を引き起こすPADの原因となります。

  • 「LDL-CとPADには明確な因果関係がある」(Hiatt WR et al., 2015)【文献7】
  • 「PAD患者において、LDL低下治療は歩行能力の改善にもつながる」(Criqui MH et al., 2018)【文献8】

5. 腎機能障害(Chronic Kidney Disease: CKD)

近年の研究では、LDL-Cと腎臓病の関連も指摘されています。

  • 「LDL-Cの高値は、糸球体硬化を促進し、CKDの進行に関与する」(Vaziri ND et al., 2014)【文献9】
  • 「脂質異常症はCKD患者において心血管疾患の最重要リスク因子のひとつである」(Wanner C et al., 2016)【文献10】

6. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

LDL-C高値は肝臓の脂質代謝にも影響を与え、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のリスクを高めます。

  • 「NAFLD患者の多くがLDL-C高値を有しており、動脈硬化と並行して進行する」(Adams LA et al., 2005)【文献11】
  • 「LDL-Cは肝細胞への脂質蓄積に関与する主要因である」(Browning JD et al., 2004)【文献12】

7. アルツハイマー型認知症

LDL-Cと認知機能の関連についても注目が集まっています。

  • 「LDL-Cが高いとアミロイドβの沈着が増加し、認知機能低下に関与する可能性がある」(Reitz C et al., 2010)【文献13】
  • 「脂質代謝異常はアルツハイマー病の発症に影響を与える」(Martins IJ et al., 2006)【文献14】

8. 糖尿病合併症の悪化

糖尿病患者におけるLDL高値は、細小血管合併症・大血管合併症いずれにも悪影響を及ぼします。

  • 「糖尿病患者におけるLDL管理は、網膜症・腎症の進行抑制にも寄与する」(American Diabetes Association, 2024)【文献15】
  • 「LDL-Cが高い糖尿病患者は、冠動脈疾患の発症リスクが3倍以上に上昇」(UKPDS Group, 1998)【文献16】

9. 性機能障害

高LDL状態が続くと、血管内皮機能の障害により、勃起不全(ED)など性機能障害を引き起こすことがあります。

  • 「EDは全身の血管障害の早期マーカーであり、LDL-Cと相関する」(Jackson G et al., 2010)【文献17】
  • 「スタチン治療によりED症状が改善するケースも報告されている」(Gupta BP et al., 2013)【文献18】

10. 死亡率の上昇

LDL-Cの高値は、総死亡率、特に心血管死のリスクを確実に上昇させます。

  • 「LDLが高い人は心血管死亡率が約30%上昇」(Baigent C et al., 2005)【文献19】
  • 「長期的なLDL管理は全死因死亡率の抑制に直結する」(Ridker PM et al., 2016)【文献20】

おわりに:放置ではなく「管理」へ

LDLコレステロールの高さは、「今すぐ症状が出ないから」と軽視されがちです。しかし、ここまで見てきたように、放置は非常に多岐にわたる疾患リスクの温床となります。定期的な血液検査と医師の管理のもとで、食事・運動・薬物療法をバランスよく組み合わせた介入が重要です。


引用文献(海外論文)

  1. Libby P et al. (2022). Inflammation, atherosclerosis, and cholesterol. Circulation Research.
  2. Ference BA et al. (2017). LDL-C and lifelong cardiovascular risk. JAMA.
  3. Nicholls SJ et al. (2016). LDL lowering and atherosclerosis regression. European Heart Journal.
  4. Sabatine MS et al. (2015). Evolocumab and cardiovascular events. NEJM.
  5. Amarenco P et al. (2006). Statins in stroke prevention. Stroke.
  6. Cholesterol Treatment Trialists’ Collaboration (2010). Statins and stroke risk. Lancet.
  7. Hiatt WR et al. (2015). Peripheral artery disease and cholesterol. Circulation.
  8. Criqui MH et al. (2018). PAD and lifestyle management. Journal of Vascular Surgery.
  9. Vaziri ND et al. (2014). Dyslipidemia in CKD. American Journal of Kidney Diseases.
  10. Wanner C et al. (2016). Lipid-lowering in CKD. Kidney International.
  11. Adams LA et al. (2005). NAFLD and dyslipidemia. Gastroenterology.
  12. Browning JD et al. (2004). Hepatic lipid content and insulin resistance. Hepatology.
  13. Reitz C et al. (2010). Plasma lipid levels and Alzheimer’s disease. Archives of Neurology.
  14. Martins IJ et al. (2006). Cholesterol metabolism in Alzheimer’s. Journal of Alzheimer’s Disease.
  15. American Diabetes Association. (2024). Standards of Care in Diabetes.
  16. UKPDS Group. (1998). Risk factors in type 2 diabetes. BMJ.
  17. Jackson G et al. (2010). Erectile dysfunction and cardiovascular disease. Int J Clin Pract.
  18. Gupta BP et al. (2013). Statins and erectile function. Journal of Sexual Medicine.
  19. Baigent C et al. (2005). Cholesterol lowering and mortality. Lancet.
  20. Ridker PM et al. (2016). PCSK9 inhibitors and cardiovascular outcomes. NEJM.

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