• 6月 4, 2025

腎臓主治医という新しい選択肢:大切な腎機能を見守る腎臓内科医

はじめに:見逃されがちな腎臓の危機

慢性腎臓病(CKD)は「沈黙の臓器の病」と呼ばれ、機能が半分程度に悪化するまで自覚症状が乏しいことが特徴です。しかし、腎機能が一度低下し始めると、手を打たないままでは、その回復は困難です。日本では成人の約13%がCKDを有しているとされ、透析導入者は年々増加しています【1】【2】。

そのような中で考えていくべきなのが「腎臓主治医」という新しいコンセプトです。これは、定期的な腎機能評価と生活習慣の最適化を支援する、かかりつけの腎臓専門医の存在を指します。
なお、「腎臓主治医」という言葉は、現時点では制度化された医療用語ではなく、私自身が腎臓病診療の現場から発案・構想した提案的な概念です。将来的には、地域医療や予防医療の新たな柱として広まることを目指しています。

なぜ「腎臓主治医」が必要なのか?

1. CKDは進行性の病気

CKDの進行を抑制するには、血圧・血糖・尿蛋白・食塩摂取量・体重・服薬管理など、多角的なアプローチが必要です。これらを継続的に評価・調整できるのは、腎臓病の専門知識を持つ医師に限られます【3】【4】。

2. 尿蛋白やシスタチンCなど、専門的な指標の理解が不可欠

腎機能の評価において、従来のクレアチニンに加えて、シスタチンCや尿中アルブミンなどの指標が注目されています【5】【6】。腎臓主治医はこれらのデータを用い、豊富な経験を含めて、より精度の高い予後予測や個別指導が可能です。

3. 多職種連携の中心として

腎臓病患者には、栄養指導、薬剤調整、生活習慣の指導など、多職種による支援が必要です。腎臓主治医はその中心に立ち、個々の患者に最適なケアをコーディネートします【7】【8】。

腎臓主治医ができること

年単位での腎機能の「予防医学的」管理

腎臓病は治療というより「進行の予防」がカギです。腎臓主治医は以下のような戦略で腎機能を年単位で保ちます。

  • クレアチニン・eGFR、シスタチンC、尿蛋白の定期評価【9】【10】
  • SGLT2阻害薬やRAS阻害薬の適切な使用【11】【12】
  • 栄養・塩分・蛋白質制限の指導【13】【14】
  • 高血圧・糖尿病の徹底管理【15】
  • ワクチン接種(帯状疱疹、インフルエンザ等)の提案【16】
  • 予後予測モデル(KFREなど)による介入のタイミング設計【17】

精神的な支えにも

慢性腎臓病と向き合うのは年単位の長期戦です。多くの不安や生活の制限を抱える患者に対し、腎臓主治医は医療的な支援に加えて精神的支柱にもなり得ます。

腎臓主治医の見つけ方と関係の築き方

  • 腎臓専門医であることを確認
    • 日本腎臓学会や病院HPで検索可能【18】
  • 「検査値をどう見ているか?」を質問してみる
    • 自分の検査値に対して具体的にコメントできる医師を選びましょう。
  • 診療の継続性を重視する
    • 最低でも年2回、eGFR・尿蛋白などの経時変化を確認できる頻度が理想です。

かかりつけ腎臓内科医がいないとどうなるか

実際、日本では初めて腎臓内科を受診した時点でeGFRがすでに30未満(CKDステージ4〜5)の患者が少なくありません【19】。これは早期介入の機会を逃していることを意味します。
かかりつけ腎臓内科医がいれば、早期発見・早期介入が可能となり、透析や移植を回避できる可能性が大きく広がります。

おわりに:腎臓のパートナーとしての「主治医」

「腎臓主治医」という考え方は、これまでの専門医紹介型医療から一歩進み、患者自身が「腎臓を守るチームの主導権を握る」発想です。腎臓病は生活の質を大きく左右する慢性疾患であり、その進行を防ぐには年単位の戦略が必要です。

腎臓を守る一歩は、「自分の腎臓のことをよく知ってくれている医師」を持つことから始まります。
本稿で紹介した「腎臓主治医」というコンセプトは、私自身が日々の診療の中で感じた課題意識と、予防医療の重要性に基づいて構想したものであり、現在はまだ制度上の枠組みには存在しない新しい提案です。
この考え方が多くの方に伝わり、腎臓の健康維持に役立てば幸いです。

参考文献

  1. 日本腎臓学会. CKD診療ガイドライン2023
  2. 厚生労働省. 人工透析患者数統計(2022)
  3. KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline for the Management of CKD
  4. Imai E, et al. Kidney Int. 2007; 71(5): 480-487.
  5. Shlipak MG, et al. N Engl J Med. 2013; 369(10): 932-943.
  6. Inker LA, et al. Ann Intern Med. 2012; 156(11): 785-795.
  7. 井上貴昭ほか. 多職種連携によるCKD管理. 日本腎不全看護学会誌, 2021.
  8. Kliger AS. Clin J Am Soc Nephrol. 2011; 6(4): 948-953.
  9. Matsushita K, et al. JAMA. 2015; 313(8): 837–846.
  10. Shardlow A, et al. Am J Kidney Dis. 2016; 68(2): 220-229.
  11. Heerspink HJL, et al. N Engl J Med. 2020; 383: 1436–1446.
  12. 日本腎臓学会. RAS阻害薬使用ガイドライン2020
  13. Ikizler TA, et al. Kidney Int Suppl. 2020; 10(4): e1–e42.
  14. KDOQI Clinical Practice Guidelines for Nutrition in CKD, 2020
  15. Bakris GL, et al. Kidney Int. 2015; 87(4): 677-685.
  16. Danziger-Isakov L, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2019; 14(2): 284–286.
  17. Tangri N, et al. JAMA. 2011; 305(15): 1553–1559.
  18. 日本腎臓学会公式HP(腎臓専門医検索)
  19. Imai E, et al. Clin Exp Nephrol. 2009; 13(6): 621–630.

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