• 11月 6, 2025
  • 11月 3, 2025

腎機能が低下すると増える「インドキシル硫酸」とは

― 保険診療では測れない“尿毒素”の正体 ―

腎臓の働きが低下してくると、血液の中にさまざまな「老廃物(尿毒素)」が蓄積します。
その中でも注目されているのが 「インドキシル硫酸(Indoxyl Sulfate)」 です。

腎臓のろ過機能(糸球体機能)が低下するとこの物質が血液中に増加し、
慢性腎臓病(CKD)の進行や全身の体調悪化に深く関与する尿毒素のひとつと考えられています。


◆ インドキシル硫酸はどこから生まれるのか

インドキシル硫酸は、食事中のトリプトファンを腸内細菌が分解してできる「インドール」が、
肝臓で硫酸抱合されることで産生されます。
健康な状態では腎臓が尿中に排泄しますが、腎機能が低下すると体内に蓄積していきます。


◆ インドキシル硫酸が身体に与える影響

近年の国内外の研究で、インドキシル硫酸の蓄積が以下のような悪影響を引き起こすことがわかっています。

  • 腎臓の線維化を促進し、腎機能を悪化させる
  • 血管の石灰化や動脈硬化を助長し、心血管疾患リスクを高める
  • 免疫・内皮細胞を障害し、全身の炎症を慢性化させる
  • 倦怠感、食欲低下、皮膚のかゆみなどの尿毒症状に関与する可能性

このように、インドキシル硫酸は単なる老廃物ではなく、
**腎臓や血管を傷つける“毒素”**として注目されています。


◆ 保険診療では測定できない理由と自費検査の現状

インドキシル硫酸の血中濃度を測定する検査は研究レベルでは確立されていますが、
現在の保険診療では未収載のため、通常の血液検査では測定できません。

一部の大学病院や臨床検査会社では、自費(自由診療)検査として
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やLC-MS/MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)を用いた
定量測定を行う場合があります。費用はおおむね数千円〜1万円前後です。

ただし、これらの検査は保険適応外であり、結果の臨床的解釈には十分な専門的判断が必要です。
また、当院ではインドキシル硫酸の自費測定は実施しておりません。
腎機能の状態は、クレアチニン・eGFR・シスタチンC・尿タンパクなどの保険適応検査で
総合的に評価しています。


◆ 腸内環境とインドキシル硫酸

インドキシル硫酸は腸内細菌由来の物質であるため、
腸内フローラの乱れ(ディスバイオーシス)が産生増加の一因となります。
腸内環境の改善によって尿毒素を減らす試みも注目されています。

  • 食物繊維の摂取を増やす
  • 動物性たんぱく質の摂り過ぎを控える
  • 発酵食品・プレバイオティクスの活用

これらの生活改善は、腎臓と腸の「腸腎連関(gut–kidney axis)」を整えるうえで有効とされています。


◆ まとめ

  • インドキシル硫酸は腎機能低下時に増える代表的な尿毒素
  • 保険診療では測定できず、一部施設でのみ自費測定が可能
  • 当院では自費測定は行っておりませんが、腎機能や尿所見から総合的に評価します。
  • 腎臓・血管の障害、全身の炎症を悪化させる可能性があり、
    腸内環境と生活習慣の見直しが予防の第一歩となります。

◆ 院長より

インドキシル硫酸は、腎臓病の「見えない進行因子」と言えます。
数値として測定できなくても、腎臓や血管に負担をかけ続けることがあります。
腎臓病の治療では、腎機能の維持・炎症の抑制・腸内環境の改善の3方向から
尿毒素の蓄積を防ぐことが重要です。


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