- 11月 24, 2025
腎臓に影響するサプリメントの話
〜腎機能を“サポートする可能性があるもの”と“注意が必要なもの”をていねいに解説〜
サプリメントは、いまや多くの人が生活の中で手軽に取り入れる健康習慣となりました。
「健康維持のために飲んでいる」
「美容目的でビタミンを追加している」
そんな方はたくさんいます。
ただ、腎臓の視点から見ると、サプリメントは
“良い影響をもたらす可能性がある成分” と
“場合によっては腎臓に負担がかかる成分”
の両方が存在します。
腎臓は体に入ったさまざまな物質を処理する臓器です。
そのためサプリメントの種類や量、体質によって影響が変わってくるのです。
この記事では、
日本で手に入る代表的なサプリ成分が腎臓にどんな影響を与えるのか、
科学的根拠も踏まえながら、やさしい言葉で解説していきます。
1|腎臓にプラスに働く可能性があるサプリ成分
まずは「腎臓に良い影響をもたらす可能性がある」とされる成分から紹介します。
あくまで“治療薬”ではありませんが、補助的に作用しうるものです。
① オメガ3脂肪酸(EPA / DHA)
魚に多く含まれる脂肪酸で、国内のサプリでも広く取り扱われています。
●期待される点
- 抗炎症作用を持つ
- 血圧や中性脂肪に良い影響
- 血管の健康に役立つ
- 糖尿病性腎症で尿蛋白の減少が見られた研究もあり
総じて、「腎臓にやさしい方向に働く可能性がある成分」と言えます。
② コエンザイムQ10(CoQ10)
ミトコンドリアの働きを助ける成分として知られています。
腎臓はミトコンドリアが多い臓器なので、CoQ10の抗酸化作用は良い影響をもたらす可能性があります。
●期待される点
- 酸化ストレスの軽減
- 軽度の炎症のサポート
- 糖尿病性腎症の研究で良好な変化が報告されている
臨床データはまだ発展途上ですが、今後も注目されている成分です。
③ ビタミンD
日本人は不足しやすい栄養素で、腎臓病の方ではさらに不足が目立ちます。
●期待される点
- 免疫の調整に役立つ
- 腎臓の炎症を抑える働きが報告されている
- 血圧調整ホルモンのバランスにも関わる
適正な量を守れば、腎臓のコンディションに寄与する可能性があります。
④ 抗酸化ビタミン(ビタミンC・E)
適量では、腎臓の酸化ストレスを和らげる可能性があります。
ただし、大量摂取は腎結石などのリスクが増えることがあるため、摂取量がポイントになります。
⑤ プロバイオティクス(乳酸菌)
腸内環境を整えるサプリとして有名ですが、腎臓にも関係していることが分かってきました。
腎機能が低下すると腸内環境が乱れ、尿毒素が増えやすくなります。
乳酸菌などのプロバイオティクスは、この尿毒素の生成を減らす可能性があることが研究で示されています。
⑥ クルクミン(ウコン)
抗炎症作用が強く、腎臓の慢性的な炎症を和らげる可能性があります。
糖尿病性腎症の炎症指標が改善した研究もあります。
⑦ レスベラトロール
赤ワインで知られるポリフェノールの一種で、細胞を守る作用があります。
腎臓の線維化の進行を抑える可能性が示されています。
⑧ アスタキサンチン
強力な抗酸化作用を持つ成分で、腎臓の血流に良い影響を与える可能性があると報告されています。
2|腎臓に負担がかかる可能性があるサプリ成分
次に、摂取量や体質・腎機能によっては腎臓への負担につながることがある成分をご紹介します。
“すべての人にとって危険”というわけではなく、そもそも体質や腎機能には個人差があります。
「こういう影響が報告されている」というニュートラルな立場での説明です。
① クレアチン
筋トレサプリとして広く利用されています。
クレアチンは体内でクレアチニンに変わるため、採血で腎機能が低く見えることがあります。
通常量で問題にならない方も多いのですが、
脱水や大量摂取が重なると腎機能への影響が出たケースも報告されています。
腎臓に不安がある方は、少し気をつけたい成分のひとつです。
② 高用量ビタミンC
美容目的などで高用量を摂る方もいますが、体内でシュウ酸に変わりやすいことが知られています。
そのため、腎結石ができやすくなることがある、という報告があります。
腎機能が低下している方では影響が強く出やすい可能性があるため、摂取量には注意が必要です。
③ ハーブ系サプリ
自然由来だから“安全”とは限らないところがポイントです。
●報告があるもの
- アリストロキア酸を含む可能性のある輸入品
- イチョウ葉:抗凝固作用がやや強い
- セントジョーンズワート:薬剤との相互作用が知られる
腎臓自体に直接影響する場合もあれば、服薬中の薬の効き方が変わり、結果として腎機能に影響が出ることもあります。
④ 高たんぱくプロテイン
健康な方は問題ないことが多いですが、腎機能が低下している方では、
タンパク質の代謝により「腎臓のろ過」が増えるため、負担になる場合があります。
「筋トレと腎臓病を両立させたい」という方は、量を調整しながら使っていくと安心です。
⑤ ミネラル(鉄・亜鉛・マグネシウム)
市販の一般的なサプリでは過量になりにくいのですが、
高濃度の輸入サプリでは、体にとって必要以上の摂取になることがあり、腎臓での処理に負担がかかるケースが報告されています。
⑥ コラーゲンサプリ
動物性コラーゲンは体内でシュウ酸に変わることがあるため、腎結石ができやすい体質の方は注意しておきたい成分です。
⑦ ナイアシン(ニコチン酸)
脂質改善目的のサプリですが、高用量では肝機能や腎血流に影響する可能性があります。
通常量では問題にならないことが多いですが、用量を守ることが大切です。
3|腎臓内科でよく見る“サプリに関係したケース”
腎臓外来では、サプリメントとの関係が疑われるケースに出会うことがあります。
●例1:クレアチンで採血の値が上がって見えた
→ 実際の腎機能と区別する必要があります。
●例2:美容目的でビタミンCの大量摂取
→ 結石や腎機能の変化が見られた例も。
●例3:海外サプリを複数併用
→ 含有量が高く、成分が重複していることがあります。
●例4:コラーゲンサプリと腎結石
→ 体質により影響が出やすい場合があります。
“絶対に悪い”という話ではありませんが、体質や持病によって反応が異なる点がポイントです。
4|腎臓を守りながらサプリと付き合うコツ
医師としてお伝えしたいのは、「サプリを否定する必要は全くない」ということです。
ただし、腎臓にやさしい使い方を知っておくと、より安心です。
① 同じ成分でも“量”によって影響が変わる
とくにビタミンC・タンパク質は量が大切です。
② 飲んでいるサプリは主治医に共有する
サプリを飲んでいる方は多いので、遠慮なく伝えて大丈夫です。
③ 腎機能のチェックは定期的に
半年に1回の腎機能チェックがおすすめです。
④ 持病がある方は、少し慎重に
- CKD
- 糖尿病
- 高血圧
- 高齢者
これらの方は、サプリの影響が出やすいことがあります。
⑤ 腎臓を守る目的でサプリを使うなら医師と相談
体質や持病に合わせた選び方ができます。
5|まとめ:サプリは“うまく使えば心強い味方”に
サプリメントは上手に使えば、健康づくりの心強いサポートになります。
ただし腎臓は、体に取り込む物質の影響を受けやすい臓器なので、自分の腎機能や持病に合わせて使うことが大切です。
「何を飲んでいいか迷う」
「腎臓が気になるけどサプリも取り入れたい」
そんなときは、腎臓内科で相談していただくのが一番安心です。
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