- 1月 20, 2026
糖尿病による慢性腎臓病(糖尿病性腎症)を正しく理解する
― 正確な腎機能評価が、将来を大きく変える ―
近年、当院のホームページでは「糖尿病」に関する検索が明らかに増えています。
これは、健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された方、すでに糖尿病で治療中の方が、合併症への不安を強く感じていることの表れだと考えられます。
糖尿病で特に注意が必要な合併症の一つが、**慢性腎臓病(CKD)**です。
糖尿病によって腎臓が障害される状態は、一般に「糖尿病性腎症」と呼ばれますが、現在ではより広い概念として「糖尿病性腎臓病」という考え方が用いられています[1]。
この記事では、
- 糖尿病が腎臓に与える影響
- なぜ早期発見が重要なのか
- 腎機能を「正確に評価する」意義
- 当院で行っている新しい検査の役割
について、患者さんの目線で詳しく解説します。
糖尿病はなぜ腎臓を傷つけるのか
腎臓は、体の中の「血液のろ過装置」です。
1日に約150リットルもの血液が腎臓を通過し、老廃物や余分な水分が尿として排出されます。
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、
- 糸球体(血液をろ過する部分)の血管に過剰な圧がかかる
- 血管の内皮が傷つく
- 炎症や線維化が進行する
といった変化が起こります[2,3]。
これが長期間続くことで、腎臓のろ過能力は徐々に低下していきます。
糖尿病性腎臓病の怖さは「症状が出にくい」こと
糖尿病性腎臓病の最大の特徴は、
かなり進行するまで自覚症状がほとんどないことです[4]。
初期
- 尿にごく微量のたんぱく(アルブミン)が漏れる
- 痛みや違和感はない
中等度
- 尿たんぱくが増える
- むくみ、血圧上昇がみられることがある
進行期
- 腎機能(eGFR)が低下
- 貧血、食欲不振、だるさ
- 透析が必要になる可能性
「症状がない=腎臓が元気」とは限らない点が、この病気の難しさです。
透析導入の最大原因は糖尿病
日本および世界各国で、透析導入の原因第1位は糖尿病です[5]。
これは、「糖尿病=必ず透析になる」という意味ではありません。
一方で、
- 発見が遅れた
- 腎機能低下に気づかず放置された
- 血糖・血圧管理が不十分だった
場合、透析に至るリスクが高まることは確かです[6]。
腎機能評価は「クレアチニンだけ」では不十分なことがある
一般的な血液検査では、腎機能評価に血清クレアチニンが用いられます。
そこから計算されるのが eGFR(推算糸球体濾過量)です。
しかし、クレアチニンには弱点があります。
- 筋肉量の影響を受けやすい
- 高齢者や女性では腎機能を過大評価することがある
- 早期腎障害では変化が出にくい
つまり、糖尿病初期の腎障害を見逃す可能性があるのです[7]。
シスタチンCとは何か ― より正確な腎機能指標
シスタチンCは、全身の細胞から一定量が産生され、腎臓でほぼ完全にろ過される物質です。
シスタチンCの特徴
- 筋肉量の影響をほとんど受けない
- 高齢者・やせ型の方でも評価が安定
- 早期の腎機能低下を捉えやすい
複数の研究で、
糖尿病患者においてシスタチンCは予後予測に優れる
ことが示されています[8,9]。
当院では、
👉 クレアチニン+シスタチンC
の両方を用いることで、より正確な腎機能評価を重視しています。
ウロモジュリン測定が示す「腎臓の予備力」
ウロモジュリン(Tamm-Horsfall protein)は、腎臓の尿細管から分泌されるたんぱくです。
近年、
- 血中ウロモジュリンが低い
- 尿中ウロモジュリンが低下している
状態は、腎臓の健康度や予備力の低下を反映することが分かってきました[10,11]。
ウロモジュリンの意義
- eGFRが保たれていても、将来の腎機能低下リスクを示唆
- 糖尿病患者のCKD進行予測に有用
- 透析リスク・死亡リスクとの関連
つまり、
「今は大丈夫そうに見える腎臓」の将来を評価できる指標
と考えられています。
当院では、自費でのウロモジュリン測定を導入し、
より一歩先の腎臓評価を行っています。
正確な評価が、治療方針を変える
腎機能を正確に把握できると、
- 薬剤選択(用量調整)
- 血圧目標
- 食事指導の強度
- フォロー間隔
を、患者さんごとに最適化できます[12]。
特に糖尿病治療薬の中には、
腎機能によって使用可否や用量が変わるものも多く、
「正しい数値を知る」ことが安全な治療につながります。
糖尿病性腎臓病の治療の柱
① 血糖管理
HbA1cを適切な範囲に保つことで、腎症進行は明らかに抑制されます[13]。
② 血圧管理
糖尿病+CKDでは、血圧管理が極めて重要です[14]。
③ 腎保護を意識した薬物治療
近年、腎保護効果が示された薬剤が登場し、治療戦略は大きく変わっています[15,16]。
④ 生活習慣の調整
- 減塩
- 適正カロリー
- 禁煙
- 継続可能な運動
これらは薬と同等に重要です[17]。
「透析を防ぐ」ために最も大切なこと
糖尿病性腎臓病は、
早期に気づき、正確に評価し、継続して管理する
ことで、透析を回避、あるいは大きく遅らせられる可能性があります[18,19]。
当院では、
- 標準検査+シスタチンC
- さらにウロモジュリン測定
を組み合わせ、
将来を見据えた腎臓診療を行っています。
まとめ ― 腎臓を守ることは、人生を守ること
- 糖尿病は慢性腎臓病の最大原因
- 初期には症状がなく、検査が重要
- クレアチニンだけでなく、シスタチンC・ウロモジュリンが有用
- 正確な評価が、治療の質を高める
- 早期介入で透析を防げる可能性がある
不安や疑問があれば、どうぞ早めにご相談ください。
参考文献(海外文献)
- Alicic RZ et al. Diabetic kidney disease: challenges, progress, and possibilities. Clin J Am Soc Nephrol. 2017
- Brownlee M. The pathobiology of diabetic complications. Diabetes. 2005
- Forbes JM, Cooper ME. Mechanisms of diabetic complications. Physiol Rev. 2013
- Afkarian M et al. Clinical manifestations of kidney disease among adults with diabetes. JAMA. 2016
- United States Renal Data System. USRDS Annual Data Report. Am J Kidney Dis. 2020
- Fox CS et al. Associations of kidney disease measures with mortality and ESRD. Lancet. 2012
- Stevens LA et al. Assessing kidney function — measured and estimated GFR. N Engl J Med. 2006
- Shlipak MG et al. Cystatin C versus creatinine in determining risk. N Engl J Med. 2005
- Peralta CA et al. Detection of chronic kidney disease with creatinine, cystatin C. Ann Intern Med. 2011
- Steubl D et al. Serum uromodulin predicts progression of kidney disease. Kidney Int. 2016
- Garimella PS et al. Uromodulin and risk of CKD progression. J Am Soc Nephrol. 2017
- KDIGO. Clinical Practice Guideline for Diabetes Management in CKD. Kidney Int. 2020
- UK Prospective Diabetes Study Group. Intensive blood-glucose control. Lancet. 1998
- Bakris GL et al. Blood pressure control in diabetes and CKD. Kidney Int. 2019
- Wanner C et al. Empagliflozin and kidney disease. N Engl J Med. 2016
- Heerspink HJL et al. Dapagliflozin in chronic kidney disease. N Engl J Med. 2020
- Kramer H et al. Lifestyle and progression of CKD. Clin J Am Soc Nephrol. 2018
- Perkovic V et al. Canagliflozin and renal outcomes. N Engl J Med. 2019
- Brenner BM et al. Effects of renin–angiotensin system blockade. N Engl J Med. 2001
- Thomas MC et al. Diabetic kidney disease. Nat Rev Dis Primers. 2015
◆このブログは、生成AIを用いた原稿を、院長が監修しております◆