- 7月 17, 2026
突然、足の親指が激痛に――痛風発作は「痛みが治まれば終わり」ではありません
「夜中に突然、足の親指が痛くなった」
「朝起きると足が赤く腫れ、床に足をつけられない」
「靴下や布団が触れるだけでも激痛が走る」
このような症状で初めて受診し、痛風発作と診断される患者さんが増えています。
痛風は、血液中に増えた尿酸が結晶となって関節などに沈着し、激しい炎症を引き起こす病気です。しかし、目に見える関節の腫れや痛みは、長期間にわたる尿酸蓄積の一部が表面化したものにすぎません。
発作の痛みは数日から1~2週間で治まることがありますが、尿酸の結晶が消えたわけではありません。そのまま放置すると発作を繰り返し、関節の変形、痛風結節、尿路結石などにつながる可能性があります[1-4]。
また、痛風患者さんには慢性腎臓病(CKD)、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などが隠れていることがあります。心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクも見逃せません。
痛風発作は、単なる「足の痛み」ではなく、腎臓や血管を含めた全身状態を見直す重要な機会です。
痛風はどのようにして起こるのでしょうか
痛風の原因となる尿酸は、プリン体が分解される過程で生じる最終産物です。
プリン体というと、ビール、レバー、魚卵などを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、プリン体は食事から摂取されるだけでなく、体内の細胞の新陳代謝やエネルギー代謝によってもつくられます。
産生された尿酸の多くは腎臓から尿中へ排泄され、一部は腸管から排泄されます。尿酸がつくられる量と排泄される量の均衡が崩れると、血清尿酸値が上昇します。
とくに重要なのが、腎臓からの尿酸排泄低下です。実際の痛風患者さんでは、単なるプリン体の摂りすぎだけではなく、遺伝的体質、加齢、肥満、インスリン抵抗性、腎機能低下、飲酒、脱水、服用薬などが複雑に関係しています[3-5]。
したがって、痛風は本人の節制不足だけで起こる病気ではありません。「食生活に気をつけていたのに発症した」という方も少なくありません。
尿酸の結晶が炎症を引き起こします
血清尿酸値が約6.8mg/dLを超えると、体内の条件によっては尿酸が溶けきれなくなり、針状の尿酸一ナトリウム結晶を形成しやすくなります[1-3]。
高尿酸血症が長期間続くと、関節の軟骨、滑膜、腱、関節周囲の組織などに結晶が少しずつ蓄積します。ただし、尿酸値が高い方の全員が、すぐに発作を起こすわけではありません。
関節内に沈着していた結晶の一部が剝がれたり、結晶を取り巻く環境が変化したりすると、免疫細胞が結晶を異物として認識します。
その結果、NLRP3インフラマソームと呼ばれる炎症反応の仕組みが活性化し、インターロイキン1βなどの炎症性物質が放出されます。さらに多数の好中球が関節内へ集まり、急激な腫れ、発赤、熱感、激痛が生じます[6-8]。
痛風発作の痛みは、結晶が関節を機械的に刺すだけで生じるものではありません。尿酸塩結晶に対する強い免疫反応によって起こります。
なぜ足の親指に起こりやすいのでしょうか
典型的な痛風発作は、足の親指の付け根にある関節に起こります。
尿酸塩結晶は、体温が比較的低い末梢の関節で形成されやすいと考えられています。また、足の親指には歩行による負担や小さな外傷が繰り返し加わります。こうした条件が重なり、結晶の沈着と炎症が起こりやすくなります[1-3]。
ただし、痛風が起こるのは足の親指だけではありません。足首、足の甲、膝、アキレス腱周辺、手首、指、肘などにも発症します。
高齢者、女性、CKDのある方、利尿薬を使用している方では、複数の関節が同時に腫れることもあります。「親指ではないから痛風ではない」とは限りません。
発作のきっかけになるもの
発作は、尿酸値が高い状態だけでなく、尿酸値が短期間に変動したときにも起こりやすくなります。
主な誘因として、次のようなものがあります。
- 多量の飲酒や暴飲暴食
- 脱水
- 激しい運動
- 発熱や感染症
- 手術や入院
- 急激な減量や絶食
- 関節への外傷
- 利尿薬の開始や増量
- 尿酸を下げる薬の開始・増量・中断
夏場の発汗、運動後、サウナ利用後、下痢や発熱後などは脱水になりやすく、注意が必要です。
飲酒後には、アルコールの代謝によって尿酸の腎排泄が妨げられます。食事量の増加や脱水も重なるため、発作が誘発されやすくなります。
一方、明らかなきっかけが見当たらない発作も珍しくありません。
発作中の尿酸値が正常でも否定できません
痛風発作時に血液検査を受け、「尿酸値が正常だったから痛風ではない」と考える方がいます。
しかし、発作中には炎症や体内環境の変化によって尿酸の排泄が一時的に増え、血清尿酸値が普段より低くなることがあります。そのため、発作時の尿酸値だけでは痛風を否定できません[2,3]。
反対に、尿酸値が高いという理由だけで、赤く腫れた関節をすべて痛風と判断することもできません。
痛風の診断では、発症の仕方、腫れている部位、過去の発作、飲酒や脱水などの誘因、腎機能、服用薬、発熱の有無などを総合的に評価します。
確定診断には、関節液中の尿酸一ナトリウム結晶の確認が有用です。必要に応じて関節エコーなどが用いられることもあります[9]。
痛風に似た危険な病気もあります
赤く腫れた関節を自己判断で「いつもの痛風」と決めつけるのは危険です。
とくに注意が必要なのが、細菌が関節内に侵入する化膿性関節炎です。治療が遅れると短期間で関節が破壊され、敗血症につながることがあります。
次のような場合は、早めの受診が必要です。
- 初めて経験する激しい関節痛
- 高熱や悪寒を伴う
- 全身状態が悪い
- 複数の関節が同時に腫れている
- 傷や化膿した部分の近くが腫れている
- 痛みや腫れが急速に広がる
- 治療を受けても改善しない
偽痛風、蜂窩織炎、外傷、骨折、腱や滑液包の炎症なども、痛風と似た症状を示します。初回発作では、とくに医師による診断が重要です。
痛みが消えても、結晶は残っています
痛風発作は、時間の経過とともに軽快することがあります。しかし、痛みが消えたことと、痛風が治ったことは同じではありません。
発作と発作の間は症状がほとんどありませんが、尿酸値が高い状態が続けば、関節や腱への尿酸塩結晶の蓄積は進みます。
治療せずにいると、発作の間隔が短くなり、複数の関節に起こるようになります。発作のない時期にも痛みが残り、関節の動きが悪くなることもあります。
さらに、耳、肘、手指、足趾、アキレス腱周辺などに、尿酸塩結晶の塊である「痛風結節」ができる場合があります。大きくなると関節破壊、皮膚障害、感染などの原因になります。
血清尿酸値を適切な範囲まで下げ、その状態を維持すれば、体内に蓄積した結晶は徐々に減少します[1-4,10]。
痛風と腎臓には双方向の関係があります
腎臓は、体内の尿酸を排泄する中心的な臓器です。そのため、腎機能が低下すると尿酸を排泄しにくくなり、高尿酸血症や痛風を起こしやすくなります。
一方、痛風患者さんではCKDを合併する割合が高く、腎機能が低下するほど治療薬の選択も難しくなります[11-13]。
痛風と腎機能低下の背景には、次のような共通要因があります。
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 脂質異常症
- 動脈硬化
- 加齢
- 利尿薬の使用
- 過剰な飲酒
- 脱水
そのため、痛風を発症した方では、尿酸値だけでなく、血清クレアチニン、eGFR、尿蛋白・尿アルブミン、血圧、血糖、脂質などの確認が重要です。
「痛風腎」とは何でしょうか
痛風や高尿酸血症に関連する腎障害は、広い意味で「痛風腎」と呼ばれることがあります。
尿酸塩結晶が腎臓の間質などに沈着し、慢性的な炎症や線維化を起こす病態が考えられています。ただし、実際の痛風患者さんにみられる腎機能低下は、結晶沈着だけによるものではありません。
高血圧、糖尿病、肥満、動脈硬化、加齢、薬剤、反復する脱水や急性腎障害などが重なっていることが多く、原因を一つに限定できない場合が少なくありません[11-14]。
また、無症状で尿酸値が高い方全員に尿酸降下薬を投与すれば、CKDの進行を防げるとは証明されていません。CKD-FIX試験やPERL試験でも、アロプリノールによる明確な腎機能低下抑制効果は示されませんでした[15,16]。
一方、すでに痛風発作を起こしたCKD患者さんは「症候性高尿酸血症」に当たります。発作の再発や結晶沈着による合併症を防ぐため、尿酸降下療法を検討する重要性が高くなります。
KDIGO 2024 CKD診療ガイドラインでも、CKDを伴う症候性高尿酸血症には、尿酸を下げる治療が推奨されています[13]。
痛風は心血管疾患とも無関係ではありません
痛風患者さんでは、心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患が多いことが報告されています[17-20]。
その背景には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、CKD、喫煙、過剰な飲酒などの危険因子が重なりやすいことがあります。さらに、尿酸塩結晶による慢性炎症や発作時の急激な炎症反応が血管系に影響する可能性も指摘されています。
2022年に報告された研究では、痛風発作後の一定期間に、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントが一時的に増加していました[19]。
ただし、尿酸降下薬を飲むだけで心筋梗塞や脳卒中を確実に予防できると証明されたわけではありません。尿酸値とともに、血圧、血糖、コレステロール、体重、喫煙などを総合的に管理することが大切です。
痛風発作が起きたときの治療
発作時の治療目的は、尿酸値を急激に下げることではなく、関節内の炎症を速やかに鎮めることです。
主に、次の薬を患者さんの状態に合わせて使用します[10,13,21]。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsは炎症と痛みを抑える代表的な薬です。しかし、CKD、脱水、胃潰瘍、心不全、高血圧、抗凝固薬の使用などがある方では、慎重な判断が必要です。
NSAIDsは腎臓へ流れる血液を減らし、急性腎障害を起こすことがあります。とくに腎機能が低下している方は、市販の鎮痛薬を自己判断で追加しないでください。
コルヒチン
コルヒチンは、好中球の働きを抑えて炎症を軽減します。発作の早期に服用するほど効果が期待できます。
ただし、腎機能が低下している方では薬が体内に蓄積しやすくなります。下痢や嘔吐のほか、重い血液障害や神経筋障害を起こす可能性もあり、併用薬にも注意が必要です。
副腎皮質ステロイド
腎機能低下などによりNSAIDsを使用しにくい場合には、内服または注射のステロイドを使用することがあります。
糖尿病、感染症、高血圧などがある方では注意が必要です。また、化膿性関節炎を除外せずに使用すると、感染を悪化させるおそれがあります。
当院では発作中の尿酸降下薬を個別に調整します
痛風発作中に尿酸降下薬を開始・増量すると、血清尿酸値が変動し、炎症に影響する可能性があります。
海外の一部のガイドラインでは、適切な抗炎症治療を併用すれば、発作中から尿酸降下療法を開始できるとされています[10]。一方、日本の実臨床では、急性炎症が落ち着くまで尿酸降下薬の新規開始や増量を見合わせることが多く、すでに服用中の薬についても病状や内服状況に応じて一時中止する場合があります。
当院でも、発作の程度、服用状況、腎機能、脱水の有無などを確認し、発作中は尿酸降下薬を一時的に中止することがあります。まず抗炎症治療によって発作を鎮め、その後に血清尿酸値を再評価して、尿酸降下療法の開始または再開時期を判断します。
ただし、自己判断による開始、中止、再開は、尿酸値を大きく変動させる原因になります。必ず医師の指示に従ってください。
発作後には尿酸を下げる治療を検討します
急性発作の治療と、将来の発作を防ぐ治療は別のものです。
鎮痛薬で痛みが治まっても、関節内に結晶が残っていれば再発します。長期治療の目的は、血清尿酸値を結晶が溶けやすい範囲に維持し、蓄積した結晶を徐々に減らすことです。
一般には血清尿酸値6mg/dL以下を目標に治療します。痛風結節や重症の結晶沈着がある場合には、より低い目標を設定することがあります[10,21]。
尿酸降下療法を積極的に検討するのは、次のような場合です。
- 痛風発作を繰り返している
- 痛風結節がある
- CKDを合併している
- 尿路結石の既往がある
- 血清尿酸値が著しく高い
- 若い年齢で発症した
- 複数の関節に発作が起きている
薬には、尿酸の産生を抑える薬と、腎臓からの排泄を促す薬があります。腎機能、肝機能、尿路結石の有無、併用薬などに応じて選択し、少量から開始して尿酸値を確認しながら調整します。
治療開始後に尿酸値が変化すると、一時的に発作が起こることがあります。そのため、患者さんの状態に応じて、コルヒチンなどによる発作予防を併用します。
食事と生活習慣の見直し
生活習慣の改善は重要ですが、食事だけで尿酸値を十分に下げられるとは限りません。体質や腎臓からの排泄低下が強く関係している方では、薬物療法が必要です。
生活面では、次の点を見直します。
- 飲酒量を減らす
- 暴飲暴食を避ける
- 果糖を多く含む清涼飲料水を控える
- 内臓肉、肉類、一部の魚介類を過剰に摂らない
- 脱水を避ける
- 急激な減量や絶食を避ける
- 適正体重を目指す
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症を治療する
ビールだけでなく、焼酎やウイスキーなども、アルコール代謝そのものが尿酸排泄を妨げます。
また、利尿薬など一部の薬は尿酸値を上昇させることがあります。ただし、必要な薬を自己判断で中止してはいけません。変更できるかどうかは、心臓や腎臓の状態を含めて医師が判断します。
痛風発作を起こしたら、腎臓まで確認しましょう
痛風発作で受診した際には、発作部位だけでなく、次のような項目を確認することが大切です。
- 血清尿酸値
- 血清クレアチニン、eGFR
- 尿蛋白・尿アルブミン
- 肝機能
- 血糖、HbA1c
- LDLコレステロール、中性脂肪
- 血圧
- 尿路結石の既往
- 心血管疾患の既往
- 服用中の薬やサプリメント
発作中の尿酸値は普段より低くなることがあるため、症状が落ち着いた後に再検査する場合があります。発作時の脱水や鎮痛薬によって腎機能が変化することもあり、治療後の確認も重要です。
とくに、健康診断でeGFR低下や尿蛋白を指摘されている方、高血圧や糖尿病がある方、尿路結石の既往がある方、市販の鎮痛薬を繰り返し使用している方は、腎機能を含めた評価をおすすめします。
九品仏駅前みやもと内科・腎臓内科クリニックへご相談ください
当院では、痛風発作の痛みを抑えるだけでなく、再発予防と腎機能評価を重視しています。
患者さんごとに、次のような点を確認します。
- 痛風発作と考えてよいか
- 感染症など別の病気ではないか
- 現在の腎機能で安全に使える薬は何か
- 尿酸降下療法を開始すべきか
- 発作後、いつから薬を開始・再開するか
- CKDや尿路結石を合併していないか
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症がないか
- 心血管疾患のリスクが高くないか
「痛みが強くて歩けない」「腎機能が悪く、鎮痛薬を飲んでよいか分からない」「痛みは治まったが尿酸値を放置している」「尿酸降下薬をいつ再開すべきか分からない」といった場合もご相談ください。
痛風発作は、身体からの重要な警告です。痛みが治まるのを待つだけで終わらせず、この機会に腎臓と血管の状態まで確認しましょう。
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※本記事は一般的な医学情報を提供するものです。治療薬の開始、中止、再開は、発作の状態、腎機能、既往歴、併用薬などによって異なります。自己判断で薬を変更せず、かかりつけの医師にご相談ください。
◆このブログは、生成AIを用いた原稿を、院長が監修しております◆