- 6月 27, 2026
健康診断で尿潜血が毎回陽性…腎臓は大丈夫?
菲薄基底膜病(良性家族性血尿)について腎臓専門医が解説
健康診断や人間ドックで、毎年のように
「尿潜血陽性」
「血尿を認めます」
と指摘されている方は、意外と少なくありません。
一方で、
- 自覚症状はない
- 見た目で血尿はわからない
- クレアチニンは正常
- 蛋白尿もない
このようなケースでは、「本当に腎臓は大丈夫なのだろうか」と不安になる方も多いと思います。
実際、当院でも健康診断異常をきっかけに受診される患者さんの中で、比較的よくみられる原因のひとつが
菲薄基底膜病(Thin Basement Membrane Disease: TBMD)
です。
以前は
良性家族性血尿(Benign Familial Hematuria)
とも呼ばれていました。
今回は、健康診断で毎回血尿を指摘される方に向けて、菲薄基底膜病について詳しく解説します。
健康診断で「尿潜血2+」「尿潜血3+」と言われたら
健康診断の尿検査では、
- 潜血(−)
- 潜血(±)
- 潜血(1+)
- 潜血(2+)
- 潜血(3+)
という形で結果が表示されます。
2+や3+と書かれていると、不安になる方も多いでしょう。
ただし、重要なのは数字そのものよりも、
- 毎回続いているのか
- 蛋白尿があるのか
- 腎機能は正常か
という点です。
1回だけの異常であれば、一時的な要因のことも少なくありません。
尿潜血の原因とは? 一時的な異常と病気の見分け方
尿潜血の原因はさまざまです。
たとえば、
- 脱水
- 激しい運動
- 尿路感染症
- 尿路結石
- 月経混入
など、一時的な原因で陽性になることがあります。
一方で、持続的に尿潜血が続く場合には、
- 腎臓由来
- 尿路由来
のどちらかを考える必要があります。
血尿があるのに蛋白尿なし…その場合に考える病気
尿潜血が続いていても、蛋白尿が陰性であれば、比較的安心材料になります。
このパターンで考える病気には、
- 菲薄基底膜病
- IgA腎症(初期)
- 尿路結石
- 泌尿器疾患
などがあります。
この中でも、若い頃から長年続いている場合に多いのが菲薄基底膜病です。
菲薄基底膜病(良性家族性血尿)とは?
腎臓には、血液をろ過して尿を作る
糸球体
があります。
通常、糸球体は血液中から老廃物をろ過しますが、
- 赤血球
- 大きな蛋白質
は尿に漏れないようになっています。
このフィルター機能の中心が、
糸球体基底膜(GBM)
です。
菲薄基底膜病では、この基底膜が通常より薄くなっています。
その結果、赤血球がわずかに漏れやすくなり、持続的な血尿が起こります。
健康診断で毎回血尿を指摘される人に多い特徴
菲薄基底膜病が疑われる方には、共通点があります。
若い頃から毎年のように健診で血尿を指摘されているにもかかわらず、体調は良好というケースです。
また、
「昔からずっと尿潜血です」
「毎年再検査と言われます」
「親も同じような体質です」
という話をよく聞きます。
尿潜血が続く場合、家族歴がヒントになることもあります
菲薄基底膜病では、家族性にみられることがあります。
診察時に、
- 親御さん
- 兄弟姉妹
- 子ども
に尿潜血がないか確認することがあります。
実際に、
母親も尿潜血
父親も健診異常
兄弟にも血尿
というケースは珍しくありません。
菲薄基底膜病の原因|COL4A3・COL4A4遺伝子との関係
近年の研究では、多くの症例に
- COL4A3
- COL4A4
遺伝子が関係すると分かっています。
これらは、糸球体基底膜の構造を支える
IV型コラーゲン
を作る遺伝子です。
この異常により、基底膜が薄くなります。
アルポート症候群との違いとは?
菲薄基底膜病と似た病気に
アルポート症候群
があります。
どちらもIV型コラーゲン異常に関連します。
しかしアルポート症候群では、
- 蛋白尿
- 腎機能低下
- 難聴
- 眼病変
を伴うことがあります。
一方、菲薄基底膜病は血尿主体です。
血尿だけで腎機能正常なら大丈夫?
多くの場合、大きな心配はいりません。
特に、
- 尿蛋白なし
- 血圧正常
- 腎機能正常
なら、予後は良好です。
ただし近年では、一部が
COL4関連腎症
として再評価されています。
そのため、完全に放置するのではなく、定期的な確認が重要です。
健康診断で血尿の再検査を勧められたら受けるべき検査
血尿が続く場合は、原因を確認するために精査が必要です。
主な検査は、
- 尿検査
- 血液検査
- 腎エコー
です。
尿検査では、
- 尿蛋白
- 尿沈渣
を確認します。
血液検査では、
- クレアチニン
- eGFR
- シスタチンC
が重要です。
特に筋肉量が多い方では、クレアチニンだけでは正確に評価しにくい場合があります。
尿潜血だけなら腎生検は必要?
多くの場合、不要です。
以下なら経過観察となることが一般的です。
- 血尿のみ
- 蛋白尿なし
- 腎機能正常
- 血圧正常
ただし、
- 蛋白尿が増える
- eGFR低下
- 肉眼的血尿を繰り返す
場合には、追加検査が必要になることがあります。
菲薄基底膜病に治療は必要?
基本的に特別な治療は不要です。
ただし、腎臓を守る生活習慣は大切です。
- 塩分を摂りすぎない
- 脱水を避ける
- 鎮痛薬を多用しない
- 適正体重を維持する
これらは腎保護につながります。
血尿があっても運動や筋トレはできる?
通常、運動制限は不要です。
- ジム
- 筋トレ
- ゴルフ
- ランニング
はいずれも可能です。
ただし激しい運動後に、一時的に血尿が増えることがあります。
健康診断で毎回尿潜血なら、一度は腎臓内科で相談を
尿潜血は珍しい異常ではありません。
しかし背景には、
- 菲薄基底膜病
- IgA腎症
- 尿路結石
- 泌尿器疾患
など、さまざまな原因があります。
大切なのは、過度に心配しすぎないこと、そして放置しすぎないことです。
当院で行っている尿潜血・血尿の精査
当院では、尿潜血・血尿の精査として、
- 尿検査(尿蛋白・尿沈渣)
- 血液検査(クレアチニン・シスタチンC)
- 腎エコー検査
- 腎臓専門医による診察
を行っています。
健康診断で毎年異常を指摘される方、蛋白尿を伴わない血尿が続く方、筋肉量が多くクレアチニン評価が難しい方にも対応しています。
まとめ|尿潜血・血尿が続いても、過度に心配しすぎないことが大切です
健康診断で毎回尿潜血を指摘される方の中には、菲薄基底膜病が隠れていることがあります。
この病気は、
- 血尿が持続する
- 蛋白尿はない
- 腎機能は正常
という特徴があります。
多くは予後良好ですが、近年ではCOL4関連腎症として再評価が進んでいます。
そのため、
- 尿蛋白
- 腎機能
- 血圧
を定期的に確認しながら、経過をみていくことが大切です。
健康診断で毎回尿潜血を指摘されている方は、一度腎臓内科で詳しく相談することをおすすめします。
参考文献(海外文献)
- Savige J, et al. Thin basement membrane nephropathy. Kidney Int. 2003.
- Kashtan CE. Alport syndrome and thin basement membrane nephropathy. Kidney Int. 2021.
- Pierides A, et al. Clinico-pathological correlations in thin basement membrane nephropathy. NDT. 2009.
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- Malone AF, et al. Redefining COL4-related nephropathies. Kidney Int Rep. 2022.
- Kruegel J, et al. Alport syndrome insights from basic science. Matrix Biol. 2013.
- Fallerini C, et al. Type IV collagen nephropathies. Front Genet. 2022.
- Storey H, et al. Clinical features of collagen IV nephropathies. Pediatr Nephrol. 2013.
- Kashtan CE, Ding J. COL4A-related nephropathies. Semin Nephrol. 2021.
◆このブログは、生成AIを用いた原稿を、院長が監修しております◆