腎臓内科

腎臓内科

腎臓内科は内科領域でも、腎臓の働きに関連する数多くの疾患を検索や診断し、適切な治療を行っています。

泌尿器科と混同されることもありますが、「腎臓の実力や具合を内科的に診る」のが腎臓内科、「腎臓・尿管・膀胱・前立腺・性器までを包括的かつ外科的にも治療する」のが泌尿器科、という差があります。

疾患によっては両方の科にまたがる領域となることもあり、患者紹介の多い科同士でもあります。例えば副腎の良性腫瘍(腺腫)による原発性アルドステロン症を腎臓内科で発見し、腫瘍切除術を泌尿器科で実施してもらうという場合があります。両科の協力によって、発見が遅れやすい二次性高血圧(内分泌性)を引き起こす原発性アルドステロン症が、外科的に完治できるのです。


腎臓は、体内の余分な水分や老廃物を24時間休むこと無く排出し、血液中の電解質バランスや酸塩基平衡を調整する非常に重要な臓器です。左右に1個ずつあり、2個で一対として腎機能を担っています。ときに片側の腎臓に疾患があり、もう片側の腎臓だけで生活できていることもあります。

構造的には皮質と髄質に分かれ、腎盂に向かって尿を排泄していきます。糸球体と呼ばれる非常に精密な毛細血管網によって血液を直接濾過し、尿細管によって必要な成分を再回収したり再分泌し、原尿の水分の大半も回収していきます。動静脈の複雑な構造に加えて、内分泌臓器であるため、腎臓疾患は全身に大きな影響を与えます。それらを内科診断学的に、ときには(入院検査ですが)経皮的腎生検を用いて病理学的にアプローチし、なぜ腎臓に病気が起きているのかを電子顕微鏡レベルまで構造分析することすらあります。

当院では膨大な腎臓疾患領域のうち、地域のファーストタッチとなるクリニックとして、未診断の腎臓病を探し求めることに注力しています。そのため、血液・尿検査では詳細な腎機能評価を行い、測定結果や必要に応じて超音波検査で腎形態を観察しています。

当院のスクリーニング検査で、さらに専門的な腎臓内科精査が必要と判断される場合は、地域医療連携協力機関制度に基づく各病院へのご紹介を行っています。

これまで横浜市立大学附属病院を含む基幹病院で、腎臓内科外来を担当しており、病棟や血液浄化センター(透析室)でも腎疾患とその合併症に数多く対応してきました。腎臓内科は他科から相談を受ける機会も多く、ICUレベルから外来まで、併診時にチームで症例討議を繰り返してきました。これらの経験に基づき、稀な腎臓合併症を含めてご相談できる体制を作ってまいります。

腎臓の3Dイメージ

腎臓疾患が疑われる症状

  • 糖尿病を指摘されており、尿蛋白(微量アルブミン尿)が出現している
  • 降圧剤を飲んでいるが、なかなか改善しない高血圧
  • 脂質異常症を指摘されている中で、腎機能(eGFR)が低下してきた
  • 尿回数の増加(とくに夜間)や減少
  • 顔面や手足の浮腫が、昼夜に続く
  • 体動時の息切れが増えてきた
  • 改善しにくい貧血が続く
  • 食事量では説明できない体重増加

腎臓に関わる主な疾患

腎臓病は多岐に渡り、当院が対応する疾患には多くの病名があります。

なお透析療法(血液浄化療法)である血液透析・腹膜透析を当院では行っておりませんが、透析中の患者様について、他の内科疾患での診察・検査は可能です。

糖尿病性腎症

急性腎炎症候群(感染性など)

ANCA関連腎炎を含む、急速進行性腎炎症候群:当院ではMPO-ANCA、PR3-ANCAを測定する場合があります

無症候性かつ持続性の蛋白尿、血尿:慢性糸球体腎炎に含む場合あり

IgA腎症(IgA血管炎・紫斑病性腎炎):慢性糸球体腎炎の代表的な疾患

膜性腎症(悪性疾患での発症リスクあり)

ループス腎炎(全身性エリテマトーデスによる)などの膠原病合併腎疾患

ネフローゼ症候群(一次性、二次性)

慢性肝炎・肝硬変に合併する腎機能障害

痛風腎(高尿酸血症に合併)

尿細管間質性腎炎(急性、慢性経過や薬剤性)

腎盂腎炎(急性、慢性かつ膀胱尿管逆流や水腎症合併)

骨髄腫腎(多発性骨髄腫、M蛋白血症)

常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)

電解質異常(カリウム、ナトリウム、カルシウム、無機リン、マグネシウムが高い/低い場合)

代謝性アシドーシス

代謝性アルカローシス

遺伝性尿細管疾患(バーター/ギッテルマン症候群)

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