不眠とは、寝たくても眠れない状態のことを言います。なお、不眠症は睡眠障害の一種であり、心配事やストレスがあってなかなか寝付けないという場合に診断されます。不眠のお悩みは人それぞれなので、8時間眠れないとだめという人や、短時間の睡眠でも十分という人もいます。しかし、現在の睡眠時間では疲れが取れない、昼間起きているときに眠気が襲ってくる、というときは治療が必要だと考えられます。例えば、下表のような症状がみられるときは、当院をご受診ください。
このようなときはご相談ください
- 寝つくまでに時間がかかるようになった
- いったん寝入っても、夜中に何度も目が覚める
- かなり早く目覚めるようになり、その後は寝つけない
- 睡眠時間は確保しているが、眠りが浅く、眠った気がしない
- よく眠れないことでイライラする
- 注意力や集中力などが低下してきた
- 日中に強い眠気に襲われる
- 睡眠不足で頭が痛い
- 「また今夜も眠れないのではないか」と不安になる
など
不眠症の種類
不眠症には、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害などのタイプがあります。このうち入眠困難は、なかなか寝付けない状態であり、不眠症で最も多いタイプだと考えられています。通常、30分~1時間で眠りに入ることが目安とされていますが、個人差もあります。そのため、なかなか眠れないからと言って、すぐに不眠症と判断できませんが、日常生活に支障があるときは治療が必要になります。
中途覚醒は、夜中に目が覚めてしまう不眠症です。睡眠は深い眠りと浅い眠りを繰り返していますが、浅いときの眠りが極端となっている場合や、浅い時間が長い場合、目が覚めてしまいます。高齢者に多くみられるもので、他に就寝前の飲酒によるアルコールの影響も知られています。
早期覚醒は、起床予定時間よりも2時間以上前に目覚め、その後、眠れなくなってしまうタイプです。高齢者に多いとされており、睡眠の浅さが関係しているとみられています。なお、うつ病が原因の場合もあるので、必要に応じて精神科と連携して治療を行います。
熟眠障害は、眠りが浅いため、熟睡感が得られないタイプです。日中に眠気に襲われてしまい、仕事などに影響が出ることも少なくありません。また、うつ病や睡眠時無呼吸症候群など、他の病気による影響の可能性もあります。
不眠症の治療
不眠症の治療は、患者さんのタイプなどによって異なります。身体的要因で何らかの病気が見つかった場合は、それぞれの病気の治療を行います。精神医学的要因があるときは、その治療も必要になります。生理学的要因や薬学的要因があれば、それを改善していくことが大切になります。その上で、お薬を使って治療を進めていきます。
なお、薬物治療について、依存性を心配される方もいらっしゃいますが、現在では依存性が低い薬も出てきています。主な睡眠薬として、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬があり、さらに最近ではメラトニン受容体作動薬なども出てきています。これらを患者さんの状況に合わせて、適切に使用していけば、不眠症の改善に有効なものとなります。また、不眠症を引き起こしているのが「うつ病」などの場合は、それに対する薬物治療も行っていきます。